- 侵食の「侵」の字が「浸」でないのはなぜですか?
- 教科書で使用します専門用語の表記は,原則として文部科学省(旧文部省)の『学術用語集』にしたがっています。
「しんしょく」については,『学術用語集-地学編-』において,昭和59年度発行のものから,それまで使われていた「浸食」が「侵食」に変わり,これに合わせて,教科書も平成元年度用から「侵食」に変更しております。この変更は,中学校・高等学校のすべての社で行われています。ちなみに,『学術用語集-地理学編-』では昭和56年のものから「侵食」となっています。また,学習指導要領解説書(平成20年9月)も「侵食」を用いています。
『学術用語集』での「侵食」への変更理由につきましては,当時の文部省に問い合わせを行ったところ,「川が土地を削り取るというはたらきを重視して,侵(おかす)にしたほうがよい」との専門家の意見によるもので,「浸」には「ひたす・しみこむ」という意味もあるために,「削り取る」といった意味合いが薄いという考えだと聞いております。しかしながら,国語辞典や一般の出版物では,現在でも,以前からの表記である「浸食」がよく使用されていると思います。