元東京都小平市立小平第二中学校
現東京都小平市立小平第一中学校
校長 小松 信也
はじめに
小平二中の学区域には住民が利用する鉄道の駅が6つもあり,東京都としては比較的広い学区域である。
そのようなことも関係して,保護者の方々にはさまざまな生活スタイルを持つ方がいる。教育に関する考えや,学校への要望や期待は多様である。
生徒も指導上の課題や学力等に関しては個人差が大きい。
そのようなことから,本校では「個に応じた指導」を最重要課題として,この数年間,学校改革に努めてきた。
1.少人数授業の実施
国語,数学,英語において少人数指導を行っている。
習熟度別授業を実施し,基礎的な内容を重点的に学習するクラスは人数を少なくして個々の生徒の指導が行き渡るように配慮している。
2.特別支援教育を生かした授業づくり
特別支援教育を障害がある生徒だけへの配慮としてではなく,一人一人に行き届いた教育を実現するための取り組みとして捉えてきた。
指導上課題がある生徒を組織的に指導する体制をつくるため,学級担任や教科担任が指導上気付いたことを出しやすいよう「個人指導カルテ」を作成し,特に配慮を要する生徒については,専門家を招いて事例研究を重ね,指導上の配慮事項に関しては全教師により理解できる態勢をつくった。
また授業に関しては「障害がある生徒にも分かりやすい授業は全ての生徒に分かりやすい授業」をモットーに研究・実践をつみあげている。
3.学生・社会人ボランティアを活用した学校づくり
― 選択教科における習熟度別学習と放課後学習におけるボランティアの活動 ―
「個に応じた指導」を実現するためには教師だけの努力では難しいことが次第に分かってきた。
そこで,平成14年度より「二中地区教育サポートネット」事業に取り組んだ。東京都・小平市教育委員会からの委託事業である。
これは,ボランティアを学校教育に積極的に取り入れようとする事業である。
この取り組みを通して,選択教科の数学,英語で習熟度別クラスに教科ボランティアが入り,個々の生徒に対応した指導が可能となった。
また,ボランティアの方々の課題意識から,一年生の内に個々の生徒に対応した指導が必要ということで,放課後学習が毎週,金曜日午後3時より開かれることとなった。英語検定・漢字検定対策や試験勉強,補習的な学習などでの生徒の利用が増えてきた。
3年英語選択教科 |
放課後学習・国語 |
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4.コーディネーターの活躍
ボランティアの活動がさかんになるにつれ,学校とボランティアあるいはボランティア同士の調整等が必要となり,ボランティアの中から調整役のコーディネーターが生まれてきた。
教師との連絡・調整もかなり必要になってきた。そこで,コーディネーターには職員室に席を設け,学校へ来た際には居てもらえるようにした。
ボランティア人材の発掘,外部機関や組織等の紹介などに活躍している。
ボランティア会議・ボランティアルーム |
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教師とボランティア打ち合わせ |
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5.ボランティアからプラットフォームヘ―充実した総合的な学習―
平成17年度からは「地域教育連携推進」事業(プラットフォーム事業)を東京都・小平市教育委員会より委託された。
これは,地域の人だけではなく地域のさまざまな組織や機関とも連携し,学校教育の質を向上させていこうという取り組みである。
この取り組みはコーディネーターの役割が大変大きかった。
特に総合的な学習でさまざまな人や組織や機関からの支援をうけることができた。
( 総合的な学習) 大学の先生による耐震診断授業 |
(総合的な学習) 保育所との連携 学校で保育体験 |
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6.今後の課題
「個に応じた指導」という本校の重要課題の解決につながる取り組みを,この数年間行ってきた仕組みについて整えてきた。やはり今後は一人一人の教員がこの仕組みに魂を入れていくことである。
また,地域人材の活用を積極的に行ってきたが,人材の発掘と育成は常に課題となる。特に要となるコーディネーターの発掘と育成は大きな課題である。
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