植物の色素と酸・アルカリ〜3年選択理科の実践〜
熊本市立出水中学校
園田 研之
1.はじめに
 本校の3年生には,2時間連続の選択の授業が週に2コマ実施される。生徒はこの2コマを異なる教科で選択し,授業を受けている。2時間続きということで理科にとっては大変ありがたい設定となっている。筆者が開設している理科(実験・観察コース)では,前期は自由研究(2〜4人のグループ研究)を行い,後期は,中学校に入ってこれまで授業などで行った実験のうち,よくわからなかったものやもう一度やってみたいものを選び,自分たちで計画を立て取り組むというスタイルで実施している。そして特に後期であるが,前述の授業の中に,こちらから課題を提示して行うおもしろ実験を4〜5コマ程度実施している。
 今回は,4〜5コマ実施したおもしろ実験のうち,「植物の色素と酸・アルカリ」の実験について紹介する。

2.テーマ,題材観
 リトマス苔や紫キャベツに代表されるように植物から得られた色素が酸・アルカリによって色変化をすることはよく知られている。今回の実験では,いろいろな色の野菜,花および果物などを用意し,「含まれるどの色素が指示薬になるかを調べよう」というテーマで,次の実験を行った。また,生徒各自が家庭等から液体(清涼飲料水など)を持参し,その液の性質を自分の好きな指示薬(色水)を使って調べる実験も行った。

(1) いろいろな色の野菜,花および果物などを用意し,それぞれから色水を取り出す。
(2) その色水(含まれる色素)が酸・アルカリによって色変化を示すかどうか,また,示すならどのような色変化を示すかを調べる。
この結果をもとにして,得られた色素がグループ分けできるかどうかを考察する。
(3) 自分の調べたい液体に好きな指示薬(色水)を加え,その液の性質を調べる。

 この実験では,取り出した色水の美しさ,色変化の不思議さを感動を持ってとらえさせたい。その感動が,子どもたちのさらなる探究心につながっていくものと考える。

3.授業の実際
 実験は,3〜4人のグループで自分たちが持参した野菜など(2〜3種類)を使って行った。(配当時間:4時間〈2コマ扱い〉)

【実験1】 いろいろな色の野菜,花,果物などを煮出して,色水を取り出す。

  ●準備
野菜や花,果物など(生徒各自が持参),ビーカー(500cm3),ガスバーナー,三脚,三角架

  ●

方法
ビーカーに200cm3の水と細かく切った野菜などを入れて加熱する。しばらく煮て水が色づいたら加熱をやめる。
色が出にくいもの(例えばイチョウの葉など)は,乳鉢ですりつぶしてエタノールを加えたものを湯煎する。

パプリカの色水を取り出す

  ●結果(取り出した色水)
紫キャベツ赤タマネギナスビ
ペチュニア(紫)ムラサキイモアサガオ
イチゴクロマメユリ(白)
ダイコンの皮(白)ニンジンミニトマト
キクミカンの皮パプリカ(赤)