鬼は輿鬼（ヨキ）と呼ばれる星座です。輿鬼とは両手でもつ輿に乗せられた死骸のことをいいます。

五つの星から構成される鬼は、よこしまな謀略を観察する天の目であるとされ、東北の星は馬をたくわえたものを、東南の星は兵をたくわえたものを、西南の星は布をたくわえたものを、西北の星はお金や宝石をたくわえたものを司っています。中央の星は積み重なった死骸であり、葬式や神々のまつりごとを司っているとされています。


中国では人間に宿る霊魂の不滅を信じ、死後人の精霊は二つに分かれ、陽の気である「魂」は天にのぼり、陰の気の「魄（はく）」は死後の肉体にこもって地にとどまるといわれています。

昇天した魂をよびもどす「招魂」のために、人が死ぬと死者の上着をとって屋根に上り、北の空に向かって死者の名を三度呼びかけ、上着を下に投げます。また、下にいるものがこれを受けて部屋に向かって死体にかけます。このようにしてよみがえらない場合には魂魄（こんぱく）もとにもどらなかったとしてあきらめるそうです。

それから葬儀の支度が始まり、死して天に昇ったものを神とし、地下に埋葬され冥界に行ったもの、あるいは冥界にも行けず地上をうろつきさまようものを鬼と呼ぶようになったそうです。