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著者からのメッセージ 著者からのメッセージ

  • 編集委員長 東北大学特任教授,東京大学名誉教授 塚田 捷 編集委員長 東北大学特任教授,東京大学名誉教授 塚田 捷
  • 編集副委員長 東京大学教授 大矢 禎一 編集副委員長 東京大学教授 大矢 禎一
 皆様,こんにちは!私は啓林館中学校理科教科書の編集委員長を務めました塚田と申します。
 子どもたちは生まれながらにして,自分たちの身の回りの物,動植物や自然のありようにみずみずしい好奇心を持っており,それらを眺め,触り,体験し,少しずつ認識と理解を深めていきますが,これが「理科の学び」や「科学の探究」への出発点であります。
 理科教育の大事な使命は,そうした子どもたちが本来持っている自発的な知的活動の可能性を十分に開花させ,合理的な思考力を育み,社会を力強く生き抜く理知的人間へと成長させることにあります。
 また,日本の発展を牽引する創造力ゆたかな人材を育て,国民全体のサイエンスリテラシーを高めるためにも,中学校理科の役割は極めて大きいと思います。
そのために私たちは,子どもたちの自ら学ぶ意欲をはぐくみ,思考力・表現力などの基礎学力を定着させ理科への関心を高めることを教科書の基本方針としました。
特に彼らの能動的な活動によって教科書の内容が「自分自身で分かる」ことを体感し,科学する喜びへ誘うようにしました。例えば別冊のマイノートでありますが,これは「読む教科書」から,「読んで書いて理解する教科書」へ,生徒の習熟度に応じつつ主体的な学びへといざなうシステムとして導入したものです。
 平成28年度版は,ご使用していただいている先生方のご意見をもとに,改訂いたしました。この教科書では生徒の興味がおのずと湧いてくるように平易でありつつ,一方では,正確な記述表現を目指しました。また,若手の先生からベテランの先生まで,教育現場にて日頃ご尽力されている先生方にとって使いやすく,先生方の理想とされる教育実践をご支援できるように配慮したつもりであります。
先生方の理科教育の大事な足掛かりとして,この教科書をご活用いただけます事を願っております。

編集委員長 塚田 捷

 みなさん,こんにちは。啓林館中学校理科教科書編集副委員長を務めました,大矢と申します。私からは,今回の改訂のポイントを3つ説明したいと思います。
まずひとつ目は,「基礎・基本の重視」です。読んでわかりやすい丁寧な記述を心がけるとともに,既に学んだことからのつながりを意識した「ふりかえり」,間違いやすいところを正しく理解させるように「なるほど」を充実させました。そして情報量を整理して,文字と図表の配置がすっきり見えるように全面的にフォーマットを改善しましたので,とても理解しやすくなったと思います。また,色覚特性に関係なく,すべての生徒さんが反復学習できるように青色シートを導入しました。
 ふたつ目は,これからを生き抜く子どもたちに「一人一人の主体的な学び」を促すようにしました。観察・実験は,見通しをもって取り組むことができるように「目的」を設け,「方法」をステップ分けしました。また,別冊のマイノートを充実させ,生徒さんが主体的に「書いて理解できることを意識して編集いたしました。マイノートは平成24年度版から導入しておりますが,「書くことで科学的思考力や表現力の育成に寄与する」と高い評価をいただいております。今回の改訂では,いつ,どのような場面で使うかについてはっきりさせるとともに,本冊と同様に魅力的なフルカラー構成にしました。
 みっつ目は,理科に興味を持ってもらい,「使える理科」が盛りだくさんの教科書を目指しました。節末に「ブレイクタイム」というコラムを設け,学校生活との関連を実感できる「部活ラボ」という科学の話題を新たに取り上げました。また,自然の豊かさや多様性の話題を充実させるとともに,理科が日常生活や職業で使われている場面を多く取り上げるようにしました。環境,グローバル化,防災・減災,ICT教育への対応も,じゅうぶんに図っております。教えやすく学びやすい教科書を追及いたしました。
 平成28年度版啓林館中学校理科教科書「未来へひろがるサイエンス」をぜひ手にとって実感していただき,先生方にご活用いただけますことを願っております。

編集副委員長 大矢 禎一