4年
量の感覚を育てる算数的活動の工夫      
〜第4学年単元「面積」の指導を通して〜        
福岡県三池郡高田町立竹海小学校
野片 敏洋
1.はじめに

 量は,実測の際の物差しの目盛りを読んだ経験や毎日の生活の中で直感的に比べたり,五感を働かせて測定したりする経験から,イメージとして内面に残っていく。イメージ化された量は人によって違うことから,量の感覚を育てるためには具体物を用いた算数的活動や体験的な算数的活動などを行い,調査的な算数的活動や探求的な算数的活動などを数理創造の過程に位置付けることが大切であると考える。

2.量の感覚を育てるための工夫

  (1) 単元構成の工夫


  (2)

 教材化の工夫


  (3)

 算数的活動の工夫


3.授業の実際(10時間)

  (1) つかむ段階(1,2/10)

ねらい
 3つのコートを歩幅や巻き尺で調べたり鬼ごっこをする活動を通して,広さの違いに気づき,既習学習をもとに調べて比べるための見通しを持つことができる。


※子ども達が身の回りから見つけたものと,選んだ理由
 ・畳,踏み板,長机,小黒板(広いから)
 ・フラフープ,マット(数が多いから)
 ・模造紙(広くて,軽くて,使いやすい)

  (2)

 わかる段階(3,4,5/10)

ねらい
 自分たちが見つけた任意単位を使って3つのコートの広さを調べる活動を通してそれぞれの広さを数値化するとともに,任意単位の不十分さに気づくことができる。


畳やマット等を使って調べることにより,任意単位の形や長さを見直させることができた。
  子どもが作った新たなもとになる広さと選んだ理由
  ・2m×2m 3m×3m 50p×50p 1m×1m
  ・1m×1.5m 1m×2m 1m×3m
(コートの形が長方形が多い,広い方が何回も印をつけなくていい,1mの半分だからあまりがでない)

  (3)

 できる段階(6,7/10)

ねらい
 新たに作った任意単位を使って3つのコートの広さを調べる活動を通して,普遍単位のよさに気づくとともに,1m2の個数と辺の長さの関係に気づくことができる。


1m2の正方形で最初の任意単位(畳,マット等)の面積を調べることにより,1m2より小さい面積や大きい面積にも関心を持ち,他の面積の単位を見つけた。

  (4)

 用いる段階(8,9,10/10)

ねらい
 身の回りの面積を予想しながら測定したり,いろいろな面積を調べる活動を通し て面積の理解を深めるとともに面積の量感を育てる。


測定したり調べた面積を紹介することにより,測定したい対象が自分の家や部屋などに広がり,多様な単位面積のいくつ分として面積を見ることができるようになった。

4.おわりに

 調べたことを,確かめて,見直し,さらに確かめるという,算数的活動を工夫したことで,体験的活動と思考活動を繰り返し行わせることができ,面積の意味や求め方を考えながら面積の量感を育てることができた。これからの算数教育において,意味をよく理解し数学的に工夫し考え,習熟し活用できることが大切になってくるが,同時に,数や量の感覚を豊かにしていくことは,それらを培う上で必要なことだと考える。

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