教科書・教材の啓林館

「答え」のまえに。 問題は、わかるか、わからないかではなく
考え方や、ものの見方を理解できるか。
さて、あなたはどう考えましたか?

18世紀最大の数学者がみつけた一筆書きのヒミツとは?

一筆書きの問題
昔,ヨーロッパにケーニヒスベルクという町がありました。町には大きな川が流れていて,7つの橋がかけられていました。
あるとき「7つの橋全部をそれぞれ1回ずつわたって,もどってくることができるか」という問題が出されましたが,だれ一人としてこの問題を解くことができませんでした。
数学者のレオンハルト・オイラーは,この問題を単純な一筆書きの図におきかえることで,「一筆書きができない図である」として問題を解決しました。

陸地を点、橋を線でおきかえると…一筆書きができない図になることがわかります。(詳しくは最後に説明します。)

「一筆書き」とは,一度書き始めたら,最後まで鉛筆を紙から離さないで,同じ線を1回しか通らずに書き終わることができる図のかき方です。
一筆書きができる図をみつけるヒミツは,図の点から出ている線の数にあります!

一筆書きができる図

①1つの点から出ている線の数が,すべて偶数の図

①1つの点から出ている線の数が,すべて偶数の図

②点から出ている線の数が,奇数の点が2つ,その他は偶数の図

②点から出ている線の数が,奇数の点が2つ,その他は偶数の図

一筆書きができない図

「一筆書きができる図」 のきまりがあてはまらない図

「一筆書きができる図」のきまりがあてはまらない図

問2の図

問2の図を,上のきまりにあてはめて考えてみましょう。

図1
点から出ている線の数を調べると,偶数の点が1つ,奇数の点が4つです。
一筆書きができるきまり①②のどちらにもあてはまらないので,一筆書きができない図だとわかります。

図1

図2
点から出ている線の数を調べると,すべて偶数です。
一筆書きができるきまり①にあてはまるので,一筆書きができる図だとわかります。

図2

図3
点から出ている線の数を調べると,偶数の点が4つ,奇数の点が4つです。
一筆書きができるきまり①②のどちらにもあてはまらないので,一筆書きができない図だとわかります。

図3

ケーニヒスベルクの橋の問題

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さらに、こんな問題も考えてみましょう。

魔方陣とは,縦,横,斜めのどの列の和も同じ数になるパズルのことです。
起源は明らかではありませんが,古代の中国で誕生し,日本では江戸時代に「方陣」と呼ばれて研究され,大変人気がありました。

3×3の魔方陣

右の魔方陣は,縦3個×横3個の9個の正方形のマスを作って,
1~9の数を入れたものです。

①どこをたしても15
3×3の魔方陣では,縦,横,斜めの数の和がすべて15になります。
その理由は,1~9の数を順にたすと,その和は45。
(1+2+3+4+5+6+7+8+9=45)
魔方陣の中のどの列の和も同じになるので,
45÷3=15 列ごとの和は15になるとわかります。

②中心の数は5
3×3の魔方陣は,上の他に7通りできます。
中心の数はすべて5です。

①どこをたしても15

②中心の数は5

4や6ではだめなの?

③奇数は角に入らない

4×4の魔方陣

右の魔方陣は,縦4個×横4個の16個の正方形のマスを作って,
1~16の数を入れたものです。
この魔方陣は縦,横,斜めのどこをたしても34になります。
この魔方陣の数の並べ方は880通りもあります。

4×4の魔方陣

魔六角陣

魔方陣には六角形のものもあります。この魔方陣は,
右斜め,左斜め,
横のどの方向でたしても38になります

魔六角陣

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虫食い算とは?

虫食い算とおもしろい名前がついていますが,名前の由来は,虫に食べられた大福帳からだといわれています。
大福帳とは,江戸時代の商人が,商品の売り買いを記していたノートのようなものです。
商人は,毎年,12月末になると,この大福帳をもとに,集金をしていました。
ところが,昔の紙は,シミという虫に食べられて穴だらけになってしまうことが度々ありました。
そうなると,いくら売ったのかがわからなくなり集金ができません。
そこで,まだ虫に食べられていないところの数字から,穴のあいたところの数字を推理しようとしたことで,虫食い算とよばれる計算がうまれました。

虫食い算には,下の2つのルール以外に細かいきまりはありません。
たし算,ひき算,かけ算,わり算さえできれば,だれでも解けるパズルです。
虫食い算を解いて,同じような問題を自分でもつくってみましょう。

虫食い算とは?

虫食い算の2つのルール 1.1つの□には1つの数字を入れる。 2.左端の□には0を入れられない。

虫食い算(たし算)

①数字が1つに限定されるところから始める。
②位の低いところから考える。

虫食い算(たし算)

1. 一の位から決める
8+イの一の位が4になるのだから,
8+イの答えは14で,
十の位に1くり上がっている。
8+イ=14より,イ=14-8=6

1.一の位から決める

2. 十の位を決める
一の位から1くり上がっているので
1+ア+4の一の位が3になるのだから,
1+ア+4の答えは13で,
百の位に1くり上がっている。
ア=13-1-4=8

2.十の位を決める

3. 百の位を決める
十の位から1くり上がっているので
1+4+7=12
ウは2

3.百の位を決める

虫食い算(かけ算)

①数字が1つに限定されるところから始める。
②位ごとに考える。



1. かける数の十の位の8に注目する
1ア×8=カキより,かけられる数(1ア)は,
8をかけても2けた(カキ)になることに注目する。
そこで,アは1か2のどちらかだとわかる。

虫食い算(かけ算)1.かける数の十の位の8に注目する

2. かける数の一の位のイに注目する
1ア×イ=ウエオより,
答えが3けたになっていることから考える。
アが1では,イが9だとしても,3けたの
数にはならない。
そこで,アは2に決まる。
12×イが3けたになるので,イは9。

2.かける数の一の位のイに注目する

3. あとは普通のかけ算をして□をうめていく。

3.あとは普通のかけ算をして□をうめていく。

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「メビウスの輪」とは?

「メビウスの輪」とは?

上のような形をしたものを「メビウスの輪」といいます。ドイツの数学者メビウスが考えたふしぎな細長い帯です。
メビウスの輪をつくって,この輪のふしぎさを体験しましょう。

メビウスの輪をつくろう

ふしぎ体験①

輪の中央に線をひいていくと,線はどうなるでしょう。

ふしぎ体験① 線はずっと続いていくよ。表と裏がない輪だ!

ふしぎ体験②

輪の中央にひいた線にそって切っていきます。
輪はどうなるでしょう。

ふしぎ体験② 1つの大きな輪(もとの輪の2倍の大きさ)になった!

ふしぎ体験③

輪を3等分する線をひき,線にそって切っていきます。
輪はどうなるでしょう。

ふしぎ体験③ いちばん上の線から切り始めたけれど、中央の線、下の線に移って、最後には、切り始めたところに戻ったよ。大きな輪(もとの輪の2倍の大きさ)と小さな輪(もとの輪の大きさ)が、くさりのようにつながってるよ!

ふしぎ体験④

「メビウスの輪」では,紙テープを1回ひねってつくりました。
今度は,紙テープを2回ひねって,輪をつくります。
次に,輪の中央に線をひき,ひいた線にそって切っていきます。
輪はどうなるでしょう。

ふしぎ体験④ 輪(もとの輪の大きさ)が2つ、くさりのようにつながったものができた!

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今までの出題も見てみよう!!

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