高等学校の教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
英語

ポストコロナ時代におけるICTを活用した英語の授業と評価

学校法人希望学園札幌第一高等学校 中川 淳

1.入試改革と新型コロナ・パンデミックの挟間で苦悩する英語教育

戦後最大と称されてきた今回の入試改革は,我が国において長らく精神的ブロックであった英語教育の封建的な構造を一気に粉砕するはずであった。全国で研修会が開催され,活発な議論が展開される中で,新しい夜明けの予感に胸を躍らせていたものであった。アクティブラーニングとは英語教育の世界では決して新しいコンセプトではなく,意識の高い先生方によって30年以上の昔から展開されてきたのだが,理科や国語や地歴公民といった教科の先生方が講義型の授業から脱却して,参加型ワークショップの形で授業を実践している様子は,正に新しい時代の到来であった。上空に暗雲が現れたのは昨年秋,民間検定業者利用によるスピーキングテストの一斉導入の延期が発表された。現場では混乱が続く中,新年を迎えて追い打ちをかけるように新型コロナ・エピデミックが始まり,旧年度が終わる頃には,自宅で自粛生活を送る生徒たちへ向けた配信授業の中で,epidemicとpandemicという単語の違いをリアルにカメラに向かって教えている自分がいた。

札幌第一高校では4月入学式が終わって1週間足らずで休校に突入した。新校舎の完成以来,段階的にICT導入に力を入れてきた本校では,生徒各自にChromebook端末を持たせており,休校期間中もオンライン授業を行ってきた。私自身,元々テクノロジー音痴のアナログ人間であったが,熱心な若い同僚の教員やアメリカの大学を卒業したばかりのALTの協力で,かれこれ40本強の授業動画を製作して,生徒のために配信してきた。内容はどうであったかというと,必ずしも全てが全て100%満足の行くものでは決してなく,試行錯誤の連続であった。しかしそんな手探りの日々の中にあって,ICTに疎いロートル教員でも少しずつスキルアップしている実感はあった。本校では全ての一般教室にBIG PADといういわゆる電子黒板があり,もともと対面授業用に準備していた授業用パワーポイントとYou Tubeの関連動画を素材に,アメリカ人ALTも巻き込んでアクティビティ中心のオンライン・レッスンを組み立てた。パワーポイントによる授業は以前勤めていた学校でも行っていたが,リモート・ポインターを片手に教室内のどこにいてもクリックひとつで画面の切り替えや音声のリピート再生が可能で,私が初めて教壇に立った35年前には考えられなかったような,まるで魔法使いになったかのような授業が展開できるのである。授業を受けた生徒たちからはオンラインでのやり取りの中で,家にいながらにして英語学習の楽しさを満喫しているといった,かなり前向きなコメントを多数もらうこととなり,何とか休校期間の空白を埋めることができたように思う。

2.Revised Element English Communication I(啓林館)を使用したコミュニケーション英語Ⅰの授業展開

配信授業で使用したパワーポイントは以下のような順序でスライドが構成されており,これ自体がレッスンプランとなっている。以下の内容をひとつのファイルにまとめ,リモート・ポインターでスライドを勧めていく。配信画面の中心にBIG PADの巨大なスクリーンを配置し,視聴者から見て左側に私,右側にALT,両者はフレーム内を出たり入ったりしながらテンポよく授業を展開し,よほど大きな失敗がない限りワンテイクで一気に撮影した。基本はオールイングリッシュで進めたが,Let’s make many mistakes! を授業の合言葉にしているので,英語教員のミステイクもそのまま撮影して配信した。(編集段階でBGMや視覚効果を加える際に,画面上で修正キャプションを入れたが,これが却って配信授業のムードに暖か味を付加することになった。)

【コミュニケーション英語Ⅰ】*時間配分は対面授業を想定したもの

①(マイナス5分)Opening:季節のGIF画像とBGM
対面授業であれば休み時間のうちに教室入室し,機材を準備したり,「I need help!」と呼び掛けてボランティア生徒にハンドアウトなどを配付させたりする授業開始前の時間帯。ここでBIG PAD画面に漫然と流しておく画面とBGM。これから英語の授業が始まるというムードを盛り上げるためのもの。配信授業では冒頭の30秒程度を充当する。対面授業では教科書の単元の関連動画なども使用。

②(5分)Voice Training Warm Up:リズムプログラマーを利用したリズムチャンツ
私の昔からのオリジナル「very big boy / very big bag / sing some songs / think these things / long red line / little red light」を4ビートのリズムに合わせてリピートさせる。その他の教材としては,高校1年生だと「チャンツでノリノリ英語楽習!(NHK出版・中学校の既習文法事項がほぼ全てカバーされている)」「Side By Side(Pearson Japan・ワークブックに文法項目毎のチャンツがある)」,高校2年生なら「CONVERSATION IN ACTION(Oxford University Press・リズムに合わせるパターンはこちらで決める)」「Tongue Twister(You Tube動画で探す)」,高校3年生になれば「Fluency MC(ラップで英語を教える。You Tubeにたくさんのタイトルあり)」。いずれも元ネタがダイアログであればALTとペアで行う。家庭での音読を定着させるのに役に立ったし,学校再開後の対面授業でもマスクを通してであるが,Nice & Loudな雰囲気を授業の冒頭に作ることができる。

③(5分)Listening:教科書Element 各単元Leading inの音声を使った単純なディクテーション

④(5分)Speaking Warm Up:扉写真に関するディスカッションでレッスン導入
各単元のカラー写真を画面上で見せながらALTとClassroom Bantering。この部分は打ち合わせなしの即興で行う方が臨場感が出てよい配信授業ができた。

⑤(5分)New Words & Phrases:昔でいうフラッシュカードをパワーポイントのスライドで行う。

という4種類の展開を用意し,テンポよく生徒に発音させていく。単語本体は黒字,アクセント部分を赤,日本語の意味はオレンジ色,接頭辞青,接尾辞緑,と指定した色でスライドを作成する。ビジュアルイメージは基本動詞であればコアイメージを使用するが,だいたいはGoogleの画像検索でGIF画像などおもしろいものを探す。アイドルやアニメキャラも使用。作成には手間がかかるが,授業中の生徒の反応がよいので準備は全然苦にならない。

⑥(5分)Main Text:本時の本文を聴かせてから英文抜き出し(重要構文を含むものを選んでおく。詳しい文法説明は省き,単語の色分け・網掛けや矢印などにより後置修飾など語順を視覚的に意識させる)

⑦(5分)Comprehension Check:Q&A(教科書のものを使用)画面上半分Q⇒音声とともに画面下半分A

⑧(10分)Reading Aloud:音読練習各種(チャンク読み・一気読み・同時読み・シャドウイングなど複数の練習パターンを用意しておき,飽きないよう毎回組合せを変えて3回読ませ,最後に教科書を閉じた状態で音声リピートをさせる)

⑨(10分)Retelling:(1準備⇒2練習⇒3発表)ここが授業で一番大切な部分であることを強調する。
学習内容を自分の言葉で要約するのだが,自分のコメント(意見・感想など)を盛り込むように指導する。高校1年生であれば「ネイティブスピーカーの子供に向かって説明している状況」をイメージさせて,なるべくシンプルな英文の使用を奨励する。オンライン授業では一方通行になってしまうので,リテリング用ノートを作らせて定期的に点検を加えるのが望ましい。その際,生徒全員の英文を全て読む必要はなく,5行程度の英語が書いていればよしとする。英語に対して苦手意識の強い生徒に対しては,各パラグラフの第1文と⑦Q&Aの解答部分を含む英文を書き写させて,そこから不要な部分を削っていくよう指示する。

⑩(プラス5分)Ending:家庭音読奨励と教科書準拠プリント(休校期間は家庭へ定期的に郵送していた)で家庭学習の指示など。時間調整で関連動画(You Tubeなど)。エンドマーク。

3.Revised Vision Quest English Expression I Advanced(啓林館)を使用した英語表現Ⅰの授業展開

Vision Questはどちらかというと文法問題集的な教科書であり,講義型の文法訳読授業でも使用できるような構成になっているが,文法学習・演習問題は家庭学習時において自分の責任でしっかり取り組ませる,疑問点があれば昼休みなど授業以外の時間帯で個別に教科担当の教員に直接質問する,というシステムを定着さえさせれば,実際の授業時間の使い方にはもっと創造的な可能性が見えてくる。休校期間中のオンライン授業で使用したパワーポイントの構成を以下に示す。前項のコミュ英Ⅰの場合と同様,スライドの順番がそのままレッスンプランとなっている。③と④は教科書の掲載部分とは順序が逆であるが,③の学習内容を講義で説明するのではなく,発声練習のマテリアルとして使用している,という点がポイントである。(以下,③~⑦の項目名はVision Questのものを借用した。)

【英語表現Ⅰ】*時間配分は対面授業を想定したもの

①(マイナス5分)Opening:季節のGIF画像とBGM(コミュ英と同じ)

②(5分)Voice Training Warm Up:リズムプログラマーを利用したリズムチャンツ(コミュ英と同じ)

③(5分)Pronunciation / Function:ウォームアップの発声練習も兼ねて行う

④(10分)Model Conversation:教科書準拠アニメ動画を編集して使用。最初にディクテーションを行い,解答後にALTとダイアログ練習を行う。リスニングタスクも教科書のものを使用。

⑤(5分)Build-up:教科書例文音読各種(コミュ英Ⅰの場合と同様に複数の練習パターンを用意しておき,飽きないよう毎回組合せを変えて3回読ませ,最後に教科書を閉じた状態で音声リピートをさせる。ここでは啓林館の用意したパワーポイントの総復習のスライドを重宝している。)

⑥(10分)Practice:文法説明もイラスト化するか,例文をチャンク毎に色分けして視覚的に理解させるようにする。教科書や参考書の説明を生徒が自分で読んでわかるような事項は授業中に説明する必要がないので,この部分は出来るだけ短くシンプルにまとめる。

⑦(15分)Use It:(1準備⇒2練習⇒3発表)コミュ英におけるリテリングと同様に,ここが授業で一番大切な部分であることを強調する。学習内容をオリジナルな内容で準備してアウトプットする。内容的にはフィクションで作文するよう奨励する。「Use your imagination and enjoy being creative!」

⑧(プラス5分)Ending:家庭音読奨励とワークブックまたは教科書準拠プリント(休校期間は家庭へ定期的に郵送していた。)で家庭学習の指示など。エンドマーク。

4.ソーシャルディスタンスを維持しながら言語活動を行うためには

学校再開後,対面授業も再び行われたが,当初はマスク着用で分散登校など,フィジカルな教室空間での授業展開に苦慮させられる場面も多かった。この文章を書いている9月現在,新型コロナの脅威は完全に収束したとは言えず,クラスターの発生した学校のニュースなどを耳にすると,ここで気を緩めてはいけないのだと改めて痛感する。とはいうものの,言語学習はインプット活動とアウトプット活動がバランスよく融合してこそ効果を上げるわけで,難関大学合格実績を上げることが学校存続のための優先事項となる私立高校にとっては,新型コロナと共に生きる時代にあっても有効な言語活動を生徒に行わせるために,知恵を絞りアイデアを出し合って,授業に取り組んでいかねばならない。前2項で紹介したコミュニケーション英語Ⅰと英語表現Ⅰのオンライン授業の大まかな流れ(レッスンプラン)は,対面授業においても基本的には変わらないので,生徒の所謂ソーシャルディスタンスを適切に維持したうえで,どのように言語活動を展開していくのかが課題となる。元気のよい発声(Nice & Loud)が理想とされる音読活動も,クラスメートのいない方向へ向かって,マスクを通した控え目なものにならざるを得ない。それでも決して対面することなく,縦または横の列で一方向に向けて順番に読ませたり,座って前方を向いたまま男子・女子でパートを決めて読ませたりと工夫は試みているのだが,かなり不自由を感じている。一斉音読は生徒を起立させてマスクをしたまま顔を下へ向けて発声するという奇妙なものとなり,ある程度声量は落としても自分の声が聞こえることを前提として,ヘッドセットを通して音声を聞き,両手で耳を抑えて自分の声を聞く,というパターンをいくつか試しているところである。それにしても実にやりにくい。新しい学習指導要領で謳われている「思考力・判断力・表現力」を伸ばすのに不可欠な「自分の意見を英語で発信する」という活動は,前2項で触れたそれぞれの授業の核(コミュ英Ⅰであれば⑨リテリング,英語表現Ⅰであれば⑦Use It)となる部分であるが,アクティブラーニングが物理的に不可能となると,肝心の発信の場面(生徒が英語で発表する)で身動きが取れなくなってしまう。コロナ以前の時代であれば,クラスを6グループに分け,机をくっつけてまずはグループ内で各自が自分の発表を行い,各グループ内で選ばれた代表生徒が授業の最後に教室の前に出てきて全体に発表する,というのが私の授業の典型的なパターンであったのだが,現在の状況ではそのような授業形態は不可能なのである。かれこれ35年も英語教員として過ごし,Show&Tell,プレゼンテーション,ディベート,スキットなどのアウトプット活動をメインとした授業を主に実践してきた私が,キャリアの最終ステージに当たって大きな壁に直面してしまったのだ。

5.ポストコロナ時代の英語授業のカギとしてのICT

近年,全国の私立中高一貫校を中心に,OST授業が注目されている。ベネッセや学研,レアジョブやウェブリオなど各社が学校向けの商品を開発している。OST(オンライン英会話トレーニング)はポストコロナ時代にあって,英語学習者に間違いのないアウトプットの機会を提供してくれる魅力的なアイテムである。本校でも2年前よりOST授業を行っており,今年度は高1高2の両学年で生徒たちがオンライン英会話レッスンを受けている。休校期間があったために,当初予定していたレッスン数を減らすことになったが,それでも10回から15回のレッスンを現在予約しており,システム不良などの問題もたまには発生して担当者を悩ませるのだが,最初は緊張していた生徒たちも2,3回レッスン重ねると次回を楽しみにするようになり,概ね前向きに取り組んでいると言える。「めっちゃ楽しい!」というのが典型的な生徒の反応である。学校施設のWiーFi環境がきちんと整備されていること,生徒が各自の個人端末(Chromebook)を使用していること,などもOSTの取り組みを可能にさせている。彼らはソーシャルディスタンスの適切に維持された状態で,スピーキングとリスニングという2つの領域における言語活動に従事できるわけであり,「コロナと共に生きる時代」にあってOSTは正に理想的な教育ツールであると言ってよいだろう。

しかし,ここではもうひとつの取り組みについて紹介したい。札幌第一高校では高校1年生の評価の一環として,遅まきながら昨年度スピーキング・パフォーマンス・テストをスタートさせたところであったが,授業中に生徒を一人ずつ教室外へ出して英語を発表させる,という形態であったために,手間がかかり過ぎるという反省があった。今年度,高1学年を担当することになった私にとっては,「スピーキングの実技テストのやり方をどのように改良すべきか」というのが年度当初の大きな課題であったわけだが,新型コロナ・パンデミックによる年度当初の休校期間のために,通常の授業時間が多く削られてしまい,授業中にスピーキング実技テストを行うというやり方は,大幅な路線変更を余儀なくされた。新型コロナの爪痕は予想以上に深く,学校祭や修学旅行といった学校行事の在り方にも甚大な影響をもたらし,この未曽有の事態に学校関係者は右往左往させられることとなった。そのような混沌とした状況の中にあって,札幌第一高校ではGoogle Classroomを活用してのオンライン授業やホームルーム活動を行ってきた。そして,それらの取り組みの中で生まれていったのが,スピーキングの課題提出というアイデアであった。

6.生徒がChromebookでプレゼンテーションを撮影して提出

生まれた時からスマートフォンのバージョンアップと共に育ってきた世代の高校生たちにとって,自撮り動画を撮影して提出するというのは,決して難しいことではなかった。そんなわけで「スピーキング課題提出プロジェクト」が,以下のような内容で実施される運びとなった。

【Show and Tell Speaking Project】

Directions: Create a video where you are talking about your favorite item and a memory with it.

[Step 1] Show an object or item (picture, souvenir, memento, etc.) that is your favorite.

[Step 2] Talk more about your item and share a memory that you have with that item or about that item.

[Step 3] Conclude your video and turn it in when you are done!

The video should be 2-3 minutes long!
In the video, try to speak smoothly, in a loud voice, make eye contact, and use the target phrases below. Also, remember to turn your video in one time if you can!
Target phrases(省略)

:Chromebook端末を使用して英語発表動画を撮影して提出す
:思い出の品を見せながら英語でお話しする
:(省略)
:9月11日(金)
:(省略)
:英語表現Ⅰの平常点に可算します
  • :①スムーズに話しているか
  • ②ターゲットフレーズを用いているか
  • ③聴き取れる声で話しているか
  • ④カメラに向かってアイコンタクトをしているか
  • ⑤提出期限を守っているか
:サンプル動画(アシュリー先生作) Enjoy being creative!

【Rating Scale Descriptor】 (評価基準)

Category Excellent (4) Good (3) OK (2) Needs Work (1)
Initiates/Paces Smooth continuous initiation of all the turns. Smooth paces all the time. Some silence before initiating a few turns.
A few turns disrupt, discontinuous, contains unnecessary repetition.
Long silence before initiating some turns. Some turns disrupt, discontinue, and contain some unnecessary repetitions. Many turns don’t begin smoothly. Many turns disrupt or discontinue. Many repetitions.
Target/Grammar Forms/ meaning is well communicated all the time. A few formal/ semantic errors which may affect communication. Some formal/ sematic errors which lead to miscommunication. Many formal/ semantic errors which hinder communication.
Diction Voice clear all the time. Voice clear most of the time. Voice often not clear. Voice not clear most of the time.
Eye Contact Stable eye contact all the time. Consistent eye contact most of the time. Inconsistent eye contact. No eye contact most of the time.
On Time Completion Project turned in one time or the following day of the deadline. Project turned in a few days after the deadline. Project turned in a week after the deadline. Project turned in more than two weeks passed the deadline.
Feedback Total: ____/ 20
  • □ Excellent job on your show and tell! Keep up the good work!
  • □ Good job! I liked your show and tell.
  • □ You did a nice job on you show and tell. Keep practicing!
  • □ You’re video was very interesting!
Additional comments

今回は初の試みということで,提出期限を第2回定期試験が終わった翌週の週末と設定したのだが,多くの生徒たちが期限ギリギリに提出してきたため,採点など通常の成績評価業務とダブってしまい,ひとりひとりの動画をじっくりと評価する時間が十分に取れなかった点など,今後へ向けて改善すべき課題は多々あるのだが,生徒が個人端末から自分の英語音声または動画をスピーキング課題として提出するという方法は,ポストコロナ時代にあっても生徒のアウトプット活動を保証するひとつの途であるのは間違いのないことであると考える。今回は「お気に入りのアイテム」という極めて単純なミニプレゼンテーションであったが,これをもう少し条件レベルを上げて教科書と関連づけた,例えばRevised Element English CommunicationⅠのLesson 7 Biomimeticsであれば最後に示したようなハンドアウトを用いたポスタープレゼンテーションなども可能であろう。Revised Vision Quest English ExpressionⅠAdvancedのLesson 7-2(不定詞)であればページ下のUse Itの「あなたが日常生活の中で大切だと考えていること」について,空想上の世界(ポケモンワールド,アイスクリームの世界,など)を舞台に同様のポスターを書かせるなど,可能性は無限大である。

今後へ向けては上に示した評価基準を全体的な英語の評価に組み入れていくことが必要で,最終的には高校3ケ年の英語の授業のシラバス全体を見直していかなくてはならないだろう。定期試験に関しても,アウトプット活動を意識した自由英作文の占める位置が大きくなるだろうし,採点方法にもgenerosityが必要になっていくだろう。


【参考教材】