高等学校の教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
英語

英単語にまつわる話100

千葉県立若松高等学校
池田 和夫

高等学校の英語教科書に出てくる英単語の中から100語を選んで、生徒が興味を持てるようにその一つひとつをやさしく解説した。高校生向き

[100] 「忘れる」 forget か leave か?
[99] 「虫」  worm か insect か?
  • worm は「みみず,うじ,毛虫」などのはって動く虫を指す。一方,insect は「昆虫」であるが,英語の場合は fly, spider, ant, wasp, centipede などの下等な動物を連想することが多い。日本では「昆虫」というと「かぶと虫」,「ばった」,「せみ」,「とんぼ」を連想し,デパートなどでも売られていて親しい存在である。鳴き声も鈴虫は「リーンリーン」,松虫は「チンチロリン」,くつわ虫は「ガチャガチャ」,うまおい虫は「スイッチョ」など鳴き声まで区別している。英語ではこれらの鳴き声はすべて chirp であって,耳障りな音に感じているようである。
  • insect は in- と sect(切る)から成る語で,「刻み目のある動物」ほどの意味であった。つまり頭部,胸部,腹部などにはっきり分かれている「虫」のことである。sect を含む語には section,intersection などがある。
[98] 「見る」  see, look, watch
  • see は「自然に目に入る」という意味と,「見ようとして見る」という意味がある。

    The moment he saw me, he ran away.
    We saw the baseball game on TV.

    look は「見ようとして視線を向ける」という意味で用いる。

    I looked back but I saw nothing.

  • watch は「注意を集中して見る」という意味であるが,look が「静止しているものを見る」場合に用いるのに対して,watch は「動いているものを見る」場合に用いると考えられる。例えば,Look at those birds. と言えば,木の枝などに止まったりして動かない鳥のことと考えられ,I like watching birds. と言えば,「私は鳥の観察が好きです。」という意味になる。watch はこの他に,watch television, watch the movies, watch a video などと用いるが,look の場合は,look at the painting, look at the photos, look at the slides などと用いる。
  • 日本語で「VTRを見てみましょう。」などと言うが,英語のVTRは videotape recording または a videotape recorder のことであるが,あまり一般的ではない。むしろVCRが a videocassette recorder の意味でよく用いられる。「今の場面をVTRで見てみましょう。」なら,例えば Let's replay the last scene on video. などと言う。
[97] 「港」  port か harbor か?
  • 商船などが客や荷物を乗せたり降ろしたりする港が port であり,付近の都市や町などを含めることが多い。「港町横浜」は the port of Yokohama と言う。一方,風や大波を防いでくれるような地形で,船が停泊するだけの港が harbor である。Pearl Harbor のことを日本語では「真珠湾」と言っている。
[96] 「マンション」  mansion ではない
  • 英語の mansion は「大邸宅」という意味であるから,日本語の「マンション」とは違っている。日本語では「ワンルームマンション」などと言ったりするが,英語で, I live in a one-room mansion. などと英米人に言ったとしたら,びっくりするであろう。日本語の「マンション」に相当する英語は,賃貸の場合が an apartment (building),分譲の場合が a condominium である。「団地」は a housing development であり,「ベッドタウン」は a bedroom community [suburb] などと言う。
[95] 「ヒアリングテスト」  hearing test か?
  • 英語を耳で聞き取る「ヒアリング」のことを英語では普通 listening comprehension と言い,「ヒアリングテスト」は a listening comprehension test と言う。英語で a hearing test と言うと「聴力検査」の意味になることが多い。
  • 日本語で筆記試験のことを「ペーパーテスト」と言うが,英語では a written test[examination] と言う。
[94] 「ハンドル」  handle か wheel か?
  • 自動車の「ハンドル」のことを英語で言うと a steering wheel または単に a wheel となる。「ハンドルを握る」は take the wheel などと言う。wheel は「回転するもの」という意味であるから「車輪」をも指す。また,自転車やオートバイの「ハンドル」のことは handlebars と普通複数形で言う。それに対して英語の handle は,例えばフライパンなどの「柄」とかやかんなどの「取っ手」などを指す。また a door handle と言うと,a doorknob(ドアの取っ手)のことである。「右ハンドルの車」は a right-hand drive car と言う。
[93] 「飲む」  drink ばかりではない
  • 日本語の「飲む」にあたる英語は数多くある。「飲み物を飲む」という普通の場合は drink であるが,「お茶やコーヒーを飲む」場合,会話では have を用いることが多い。「薬を飲む」時は take,「スープを(皿からスプーンを用いて)飲む」時は eat,「固まりなどをかまずに飲み込む」時は swallow を用いる。その他に「ちびちび飲む」時は sip,「飲み物などをごくりと飲み込む」時は gulp,「乳などを吸って飲む」時は suck を用いる。
[92] 「なべ」  pan か pot か?
  • 長い柄のついた片手なべは pan といい,frying pan, saucepan などと用いる。それに対して,深めの両手なべは pot といい,soup pot, stewpot などと用いる。また pot は丸い入れ物類を指し,coffeepot, teapot, flowerpot, watering pot などと用いる。
[91] 「電報」  telegram か telegraph か?
  • telegram は電報文や電報内容を指し,telegraph は電報の手段や制度を指す。-gram も-graph も「書いたもの」という意味で,telegram も telegraph も元来は「遠くから書いたもの」といった意味であった。
  • -gram や -graph のつく語には次のようなものがある。

    program プログラム(前もって書いたもの)
    grammar 文法(書いたもの)
    paragraph 段落(脇に書いた印)
    photograph 写真(光で書いたもの)

    なお -graphy のつく語にも「記録」などの意味が含まれている。

    biography 伝記(生涯の記録)
    geography 地理学(土地の記録)
    photography 写真術(光の記録)

[90] 「ダンスパーティー」  dance party か?
  • 「ダンスパーティー」は和製英語であり,英語では単に a dance という。公式で盛大な舞踏会の場合は a ball という。「ダンスパーティーを開く」に相当する英語は,have a dance, give a dance, hold a dance である。
  • 余分な語をつけ加えた和製英語には次のようなものがある。

    ガードマン ― guard
    ネクタイピン ― tiepin
    ワイシャツ ― shirt

[89] 「大学」  college か university か?
  • college は普通「単科大学」のことであり,元来は「同僚(colleague)の集まり」ほどの意味であった。短期大学は a junior college であるが,米国の地方自治体の運営するものは特に a community college という。また,いくつかの学部が集まってできた「総合大学」を a university というが,元来は「1つ(uni-)にまとまった社会」ほどの意味であった。なお,理工科系の大学には institute を用い,例えば「マサチューセツ工科大学」は the Massachuesetts Institute of Technology である。
[88] 「狭い」  narrow とは限らない
  • narrow は幅が狭いという意味で,a narrow street とか a narrow bridge などと用いる。a narrow room というと,「細長くてうなぎの寝床のような部屋」という意味になってしまう。「狭い部屋」は a small room といい,面積が狭い意味では small を用いる。また limited を「狭い」の意味で用いることもある。

    He has only a limited knowledge of the matter.
    (彼のこの件に関する知識は狭い。)

[87] 「政治家」  politician か statesman か?
  • 職業としての「政治家」という一般的な意味では普通 politician を用いる。しかしpolitician には党利・私利をむさぼるような政治家という意味が含まれることがあり,立派な政治家という意味では statesman が用いられることがある。

    His wide and varied training had made him not a politician but a statesman able to take imperial view.
    A politician thinks of the next election;a statesman, of the next generation.

  • women's liberation の結果,性差別的な -man のつく語をさけるために公用語になった語には,police officer, firefighter, mail carrier, chairperson, congressperson, flight attendant などがある。
[86] 「信じる」  believe か believe in か?
  • I believe him. は「彼の言ったことを信じる。」という意味で,一時的に人が言った言葉を信じる場合であるのに対して,I believe in him. は「彼を信頼している。」という意味で,彼の人格を信じる場合に用いる。
  • believe in... には「(人)を信頼する」という意味の他に,「…の存在を信じる,…を信仰する,…の価値を信じる」という意味がある。

    She believes in Santa Claus.
    Do you believe in Buddhism?
    He believes in democracy.

[85] 「常識」 common sense のこと?
  • common sense とは社会生活を営む上で必要な思慮・分別のことである。例えば次のように言う。

    He has no common sense.(彼は常識がない。)

    それに対して,だれもが知っていることを日本語で「常識」と言うが,この場合英語では common knowledge という。

    It's a matter of common knowledge.(それは常識だ。)

[84] 「出席する」  attend か attend to か?
  • attend は「出席する」という意味では他動詞である。例えば,attend the party, attend the meeting, attend a wedding などと用いる。一方,attend to... は「…の言うことを注意して聞く」,「…の世話をする」,「…に励む」などの意味であり,attend to the teacher, attend to the baby, attend to the work などと用いる。また「看護する,付き添う」という意味では自動詞と他動詞と両方で用いる。

    Two doctors attended (on) the patient.

[83] 「シュート」  shoot か screwball か?
  • shoot は普通,「銃などで撃つ」という意味であるが,バスケットボールやサッカーなどでは「シュートする」の意味で用いられる。名詞の「シュート」には a shot が用いられる。しかし野球の「シュート(ボール)」にあたる英語は a screwball である。
  • 野球用語には和製英語が多い。

    ショート ― shortstop
    センター ― center field, center fielder
    ピッチャープレート ― pitcher's plate
    バッターボックス ― batter's box
    ネクストバッターズサークル ― on-deck circle
    バックネット ― backstop
    バックスクリーン ― center field fence
    ゴロ ― ground ball, grounder
    フォアボール ― a base on balls, walk
    ナイター ― a night game

    なお,「キャッチボールをする」は play catch であり,「フルベース」は The bases are full [loaded]. と言う。
[82] 「シャープペンシル」  sharp pencil?
  • 英語で a sharp pencil というと「先のとがった鉛筆」というような意味になってしまう。日本語の「シャープペンシル」にあたる英語は a mechanical pencil である。また「ボールペン」は a ballpoint (pen) であり,「サインペン」は a felt tip (pen) である。その他,商標名からきた和製英語の「ホチキス」は a stapler であり,「マジック(インキ)」は a marker, a felt marker などという。magic は「魔法」の意味である。
[81] 「サイン」  sign か signature か?
  • 英語の sign は,例えば野球の監督が出す「バントのサイン」の意味で the bunt sign などと言うが,名詞では普通「掲示,印,形跡,合図」などの意味で用いる。手紙や契約書などの「サイン」に相当する英語は signature である。また有名人などの「サイン」には autograph を用いる。なお動詞の「サインする」には sign,autograph などを用いる。
  • sign は元来「印」という意味であり,signal(信号),signify(意味する),assign(割り当てる),design(…の図案を作る),resign(辞職する)などと共通の語源である。
[80] 「最近」  recently か nowadays か?
  • recently という副詞は,Recently I saw her. または I haven't seen her recently. のように過去時制または現在完了形の文で用いる。一方 nowadays は,例えば I don't see her nowadays. のように現在時制の文で用いる。「時」を表す英語の副詞・副詞句は特定の時制と結びついて用いられる。過去時制または現在完了時制で用いられるものにはこの他,lately, of late, in recent years などがある。現在時制で普通用いられるものには他に,these days がある。また one of these days は未来を表し,just now は意味によって現在と過去の場合がある。

    I am busy just now.
    I saw her just now.

[79] 「捜す」  search か search for か?
  • 「人や物を捜し求める」場合は search for ... を用いる。

    They searched for the lost boy.

    「場所や身体を調べる」意味では search ... を用いる。

    The police searched the building.

    また「人や物を求めて場所や身体を調べる」場合は上の両者を合わせた形で次のように言う。

    The police officer searched the suspect for concealed weapons.
    Firefighters searched the building for survivors.

[78] 「腰」  waist か hips か?
  • 日本語の「腰」に相当する英語は部分によって異なる。「胴のくびれた部分」が waist である。

    She has a slender waist.(彼女はほっそりした腰をしている。)

    左右に張り出した部分は hips と複数形で言い,hip では片方のみになってしまう。

    She has large hips.
    He stood with his hands on his hips.

    また,「腰」の後ろの部分は lower back であり,I have a pain in my lower back.(腰が痛い。)などと用いる。腰掛けるといすに触れる部分は buttocks と複数形で言う。
[77] 「クラシック」  classic か classical か?
  • 「クラシック音楽」に相当する英語は classical music である。classic music というと「古典的な音楽」という意味になり,例えば the Beatles の音楽などを指す。classic には「伝統的な,古典的な」という意味があり,classical には「古典主義の,古典文学の」という意味がある。
  • economic(経済上の)と economical(経済的な)も類似している語なので注意が必要である。例えば,economic growth,あるいは an economical heater などと用いる。
  • historic(歴史的に有名な)と historical(歴史上に実在する)の違いにも注意を要する。a historic building,a historical novel などと用いる。
  • comic(喜劇の)とcomical(こっけいな)にも注意。a comic actor,a comical appearance などと言う。
  • また electric(電気で動く)と electrical(電気に関する)にも違いがある。an electric car,electrical engineering などと用いる。
[76] 「クラクション」  klaxon か horn か?
  • 自動車の「クラクション」は普通英語で horn という。klaxon は元来,商標名であり,昔パトカーなどにつけたものをいった。自動車に関係する語には和製英語が多い。

    ハンドル ― a (steering) wheel
    バックミラー ― a rearview mirror
    フロントガラス ― a windshield
    チェンジレバー ―a gear shift
    バックギアー ― reverse gear
    ドアミラー ― a side mirror
    スリップする ― skid

[75] 「霧」  fog か mist か?
  • fogは視界のきかないほどの濃い霧のことである。かつてロンドンは濃霧で有名であった。黄色がかった「えんどう豆のスープ」のように見えたところから pea soup,pea souper などとも呼ばれた。工場などから出される煙や排気ガスが霧のように立ちこめると smog が発生する。smog は smoke と fog が合成されてできた語である。一方,薄い霧は mist であり,さらに薄く湿り気の少ない「もや」は haze という。「霧の立ちこめた,もやのかかった」という意味の形容詞は foggy,misty,hazy となる。
  • 日本語では濃い霧のことを「深い霧」ということがあるが,英語では a dense〔heavy,thick〕fog という。
[74] 「給料」  wages か salary か?
  • wages は特に肉体労働による給料であるが,労働用語として賃金すべてについて用いる。週給・日給・時間給などの短期間単位のものを指す場合が多く,普通は複数形を用いる。一方,salary は知的な職業に対して支払われる月給などで,銀行に振り込まれる場合が多い。また,給料一般を表わすには pay を用いることができる。
  • 「サラリーマン」にあたる英語は an office worker,a salaried worker,a whit-collar worker などである。
  • salary は salt と共通の語源で,元来は「塩を買うためのお金」という意味であり,古代ローマ時代に兵士たちに支払われたものであった。
[73] 「カメラマン」cameraman か photographer か?
  • 英語で a cameraman というと普通,映画やテレビの撮影をする「カメラマン」を指す。「女性カメラマン」の場合は a camerawoman と言うこともある。また,新聞や雑誌などの「カメラマン」の場合は a photographer というのが普通である。photographer には次のような言い方がある。
    You are a good photographer.
    (あなたは写真をとるのが上手ですね。)
[72] 「亀」  turtle か tortoise か?
  • 「浦島太郎」に出てくる亀も「うさぎと亀」の亀も,日本語ではどちらも「亀」というが,英語の場合,米国ではどちらも turtle であるが,英国では「海亀」のことを turtle,「陸亀」のことを tortoise と区別する。turtle は a turtleneck(タートルネックのセーター)などと用いる。tortoise は元来「ねじれた足の動物」という意味であり,distort(ゆがめる),torture(拷問),torment(苦痛),torch(トーチ,たいまつ)などと共通の語源である。
[71] 「雷」  thunder か lightning か?
  • 日本語の「雷」は「雷鳴」の意味にも「稲光」の意味にも用いるが,英語では「雷鳴」のことを thunder,「稲光」のことを lightning といって区別する。そして「雷」全体のことを thunder and lightning または thunderbolt という。実際にはピカッと光ってから次にゴロゴロ鳴るのであるが,英語の語順は thunder and lightning と決まっている。発音したときの語呂のよさが関係しているようである。
  • 英語と日本語の語順が逆になる例は多い。
    audio-visual(視聴覚の)
    back and forth(行ったり来たり)
    black-and-white(白黒の)
    food and drink(飲食物)
    here and there(あちこちに)
    supply and demand(需要と供給)
    young and old(老いも若きも)
    art and science(科学と芸術)
    buying and selling(売買)
    time and money(お金と時間)
[70] 「風」  wind か breeze か?
  • 「風」に相当する英語は普通 wind であるが,「強い不快な風」には wind を用い,「弱い快い風」には breeze を用いることが多い。すなわち wind は,a cold wind,a strong wind,a north wind などと用いるが,breeze は,a cool breeze,a bracing breeze などと用いる。また,強風のことを a gale,すきま風のことを a draft といい,突風は a gust,爆風は a blast という。
[69] 「エンゲージリング」 engage ring ではない
  • 英語の engage は be engaged という受け身形で「従事している」,「婚約している」などの意味を表わす動詞である。「エンゲージリング」は an engagement ring のように名詞形を用いて表わす。同じように語尾が落ちた和製英語には次のようなものがある。

    マッシュポテト ― mashed potato
    ハッピーエンド ― a happy ending
    ウーマンリブ ― women's liberation

[68] 「宇宙」  space か universe か?
  • space は「宇宙空間」という意味で,例えば a space shuttle,a space station,space travel などと用いる。一方,universe は uni-(1つ)と verse(向かった)が合わさった語で,「1つにまとまったもの」から「秩序ある統一体としての宇宙」という意味を表わすようになった。
  • uni- のつく語は「1つ」と関係のある意味を持つ。university(総合大学),unanimous(満場一致の),uniform(制服),union(結合),unit(構成単位),unite(結合する),unity(単一性)
[67] 「アナウンス」  announce のこと?
  • 英語の announce は「知らせる」という意味の動詞であり,日本語の「アナウンス」という名詞に相当する英語は announcement である。同じように日本語と英語で品詞が違うものには次のようなものがある。
    アパート ― apartment (house) < apart 離れて
    デパート ― department store < depart 出発する
    スペル ― spelling < spell (単語)をつづる
    スキー ― skiing < ski スキーをする
    スキー用の板
  • 英語の一部が省略されて日本語になったものは多い。
    (ホテルの)フロント ― front desk < front 前部
    ミシン ― sewing machine < machine 機械
    ネーブル ― navel orange < navel へそ
    パート(タイム)― part-time job < part 部分
    スナック ― snack bar(ただし酒類は出さない) < snack 軽食
[66] 「青」  blue とは限らない
  • 日本語の「青」は英語の blue より意味の範囲が広い。「信号が青に変わった。」は英語で The traffic lights changed to green.  といい,「青物」は greens という。「顔が青ざめる」は turn pale といい,「顔色が真っ青になる」場合は turn white を用いることが多い。同じ「真っ青」でも「真っ青な海」は the deep blue sea などという。
  • blue には「憂うつな」という意味がある。月曜日は週末を楽しんだ後に仕事を始めなければならない日なので,blue Monday と呼ばれることもある。反対に金曜日には TGIF と言う。これは Thank God it's Friday.(ありがたい,金曜日だ)の意味で,1週間の仕事が終わって,金曜日の夜から楽しい週末が始まるからである。また週給制の会社の場合,給料が金曜日に支払われるのである。またブルース(the blues)とは元来,しいたげられた黒人たちの暗い気持ちを歌った曲という意味である。
[65] wear  「着ている」か「はいている」か?
  • 日本語では、服やシャツなどのように主に上半身につけている場合は「着ている」と言い、ズボンやスカートや靴などのように主に下半身につけている場合は「はいている」と言う。また帽子やヘルメットなどを頭につけている場合は「かぶっている」と言い、眼鏡などは「かけている」、襟巻きや腕時計などは「している」、リボンなどは「つけている」などと言って区別する。しかし英語ではこのような場合すべて wear を用いることができる。また have…on も同じように用いることができる。「着る」、「はく」などの動作を表わすには put on を用いる。
  • wear は次のように用いることもある。

    wear a mustache(口ひげをはやしている)
    wear a smile(えみを浮かべている)
    wear makeup(化粧をしている)

[64] water  「水」とは限らない
  • water は「水」よりも意味が広い。hot water は「湯」のことである。また、旅行していて海が見えてきたときに、日本人は「海だ!」と叫んだりするが、英米人は Water ! と叫ぶ。「湖」や「川」のことも water を用いて表わすことがある。例えば、ある米国人は「オハイオ州にはエリー湖とオハイオ川がある」という内容を次のように紹介した。

    There are two bodies of water in Ohio: one is Lake Erie and the other is the Ohio River.

  • water はまた次のように「涙」「よだれ」などの意味をも表わす。

    The smoke made my eyes water.
    It makes my mouth water.

[63] trainer  「トレーニングシャツ」?
  • 日本語の「トレーナー」には「トレーニングシャツ」という意味と「選手の練習上の指導者」という意味があるが、英語の trainer には前者の意味はない。「トレーニングシャツ」に相当する英語は a sweatshirt である。「トレーニングパンツ」のことは sweatpants といい、training pants とは幼児がオムツをはずした直後にはく toilet training 用の特別なパンツのことである。上下そろいの「トレーニングスーツ」は a sweat suit という。
  • sweater は元来、減量のために汗(sweat)を流すことを目的として着たものであった。厚手の毛で編んだシャツのことで、「セーター」ばかりでなく前開きの「カーディガン(cardigan)」をも含む。他に pullover、jersey なども sweater である。
  • 「ランニングシャツ」にあたる英語は a sleeveless undershirt である。
[62] train  「列車」か「電車」か?
  • train とはいくつかの車両が連結された「列車」という意味である。実際には「電車」、「汽車」などを指す場合が多いが、1 両のみの電車の場合、英語では a train とは言わず、a car または a carriage などと言う。また1両のみの市街電車は a streetcar、a trolley、a tram などと言う。
  • train は元来「引く」という意味であり、「引っぱっていく」、「従わせる」から「人や動物を訓練する」という意味になった。
[61] tour  「ツアー」のことか?
  • 日本人がよく行う団体旅行のことを「ツアー」と呼ぶが、英語では an organized tour または a group tour となる。単なる tour は「周遊旅行」といった意味である。すなわち tour は turn と共通の語源であり、「ぐるっと回って出発点に戻る旅行」という意味になった。また tour には「旅行」だけでなく「ぐるっと見て歩く見学」の意味もある。

    a guided tour of the art gallery
    (美術館の案内人付き見学)

  • 「旅行」に相当する英語は多い。比較的短い一般的な旅行は trip であり、各地に寄りながら行くのが travel である。「かわいい子には旅をさせよ」というように日本語の「旅」にはつらいものという意味が含まれていたが、英語の travel にも同じような意味があった。目的地までの比較的長い旅行は journey であり、団体の観光旅行は excursion である。また、船の旅のことは voyage という。
[60] teenager  「十代の若者」か?
  • 英語の teenager は厳密には thirteen から nineteen までの -teen のつく年代、すなわち「13歳から19歳までの若者」の意味である。日本語で「ハイティーン」などと言うが、英語では in one's late teens と言い、17歳から19歳までを指す。「ローティーン」のことは in one's early teens と言い、13歳から15歳を指す。
[59] talent  「タレント」でない
  • 日本語の「タレント」は「芸能人」ほどの意味であるが、英語の talent は「才能」とか「才能のある人たち、人材」という意味である。テレビ番組にしばしば出演して人気のある「テレビタレント」にあたる英語は a TV personality である。またテレビ俳優や歌手を「スター」と呼ぶが、英語の star は特に傑出した有名人に限られている。
[58] take off  「脱ぐ、外す、取る」
  • 日本語では身につけているものを取る時に、衣服や靴などは「脱ぐ」と言い、眼鏡や指輪などは「外す」と言い、手袋やリボンなどは「取る」と言って区別する。しかし英語では、take off one's shoes、take off one's glasses、take off one's gloves などと、いずれの場合も take off を用いることができる。
  • 衣服などを身につけるという反対の動作には put on を用い、身につけているという状態には wear や have … on を用いる。
[57] succeed  「成功する,…の跡を継ぐ」
  • succeed は suc- (=sub- 次に) と ceed(行く)が合わさった語で「次に続く」という意味であった。「物事がうまく続く」ことから「成功する」という意味になった。「また次に続く」ことから「(人)の跡を継ぐ」とか「(地位・財産など)を継承する」という意味になった。
  • succeed と共通の語源である語に proceed(進む),precede(…よりも先に行く),exceed(越す),concede(認める)などがある。
[56] stove  「ストーブ」か「レンジ」か?
  • 英語の stove は料理用の「レンジ(cookstove)」を指すことが多く,暖房用には,まき・石炭などを燃料とする「ストーブ」を指す。「ストーブ」の意味では heater を用いることも多く,「電気ストーブ」は an electric heater,「ガスストーブ」は a gas heater,「石油ストーブ」は an oil heater などという。
  • 冷房装置の「クーラー」,「エアコン」に相当する英語は an air conditioner である。cooler は「冷却器」の意味で,例えば a wine cooler などと用いる。
[55] station  「駅」とは限らない
  • station は「駅(railroad station)」の他にもいろいろな意味をもっている。例えば police station(警察署)や fire station(消防署)などの「署」,weather station(測候所)や nuclear power station(原子力発電所)などの「所」,broadcasting station(放送局)などの「局」などの意味に相当する。また「ガソリンスタンド」にあたる英語には gas station, service station, filling station などがある。
  • station は元来「人が立っている所」という意味であった。stage(舞台),state(状態),status(地位),statue(像),stable(安定した)なども共通の語源である。
[54] spring  「跳ねる;バネ,泉,春」
  • spring にはいろいろな意味があるが,もともと「跳ねる」という意味であった。それから「ばね」という意味で用いられたり,「物が発生する」ということから「泉」という意味になったり「春」という意味で用いられるようになった。
[53] sport  「スポーツ」とは少し違う
  • 英語の sport は日本語の「スポーツ」よりも意味が広く,陸上競技・水泳・球技・スキー・スケート・登山などの運動競技の他に,hunting や fishing や horse racing なども含む。個々の「スポーツ」は sport と単数形で言い,複数の「スポーツ」が sports となる。
  • sport は元来「気晴らしをする」という意味の disport であったが,最初の音が落ちて sport という形になった。すなわち dis-(離れて)と port(運ぶ)が合わさって「人を仕事から運び去る」という意味になった。
[52] soup  「飲む」か「食べる」か?
  • 日本語では「スープを飲む」と言うが,英語ではスプーンを用いて皿から口へ運ぶので eat soup と言う。drink soup というのは cup から直接飲む場合である。スープを飲む時に音を立てるのはマナーに反する。なお,「薄いスープ」は thin soup といい,「濃いスープ」は thick soup という。
[51] sauce  「ソース」とは限らない
  • 日本語の「ソース」にあたる英語は Worcestershire sauce または Worcester sauce であり,英語の sauce は肉や魚やその他の料理にかけて味を添える液体状またはクリーム状の調味料すべてを指す。すなわちサラダにかける dressing も ketchup も sauce であり,white sauce,chili sauce,soy sauce など種類もさまざまである。また,このようなことから Hunger is the best sauce. ということわざの意味も理解できる。
  • sauce は元来「塩味をつけた」という意味であり,salad や sausage や salami などと共通の語源である
[50] rice  「稲,米,ご飯」
  • 英米では rice は野菜の一種とみなされ,肉料理に副菜として添えて出したり,プディングやケーキなどの材料として用いられる。スーパーマーケットなどで売られている。日本のように主食には用いない。rice には「とぐ,洗う」という考えはなく,そのまま使う。
  • rice は日本語の「稲(rice plant)」,「もみ」,「米」,「ご飯(boiled rice)」などに相当する。また皿に盛られたものは「ライス」と呼んでいる。
  • rice には幸福,多産のイメージがあり,結婚式を挙げた新婚の夫婦が教会を出る際に米を投げつけて祝福する習慣がある。
[49] report  「レポート」?
  • report は re-(元へ)と port(運ぶ)が合わさった語で,「運び戻す」という意味から「報告する」とか「報告」などの意味になった。生徒が課題としてまたは試験の代わりに提出する「レポート」に相当する英語は paper または term paper である。
  • report と語源が共通な語に export,import,support,transport,portable,porter などがある。
[48] propeller  「プロペラ」か「スクリュー」か?
  • propeller は「(飛行機の)プロペラ」と「(船の)スクリュー」との両方を指す。短縮した形 prop も,また screw も両方の意味で用いられる。
  • propel は pro-(前へ)と pel(駆り立てる)が合わさって「推進する」という意味になった。expel(追い出す),compel(無理に…させる),impel(促す),dispel(ぬぐい去る),repel(追い払う)なども共通の語源である。
[47] present  「現在の」か「出席している」か?
  • present は,例えば the present government のように形容詞の限定用法(attributive use)で用いた場合には,「現在の」という意味になる。一方,He was present at the party. のように述語用法(predicative use)の場合には「出席している」という意味になる。
  • present は pre-(目の前に)と sent(存在する)から成る語で「居合わせている,現在の」や「差し出す」や「贈り物」などの意味を表わすようになった。present(居合わせている,出席している)の反意語はab-(離れて)と sent(存在する)から成る absent(不在の,欠席の)である。
[46] pink  イメージは?
  • 英語の pink には日本語の「ピンク」のようなわいせつな意味は含まれていない。pink は赤ん坊の肌の色であり,健康や若さを表わし,in the pink というと「とても元気」という意味になる。わいせつな意味では blue が用いられることがある。a blue movie[film] は「ポルノ映画,ピンク映画」の意味になる。
  • また pink には,red(共産主義者)に対して,「左翼がかった人」という意味がある。
[45] picture  「絵,写真,映画」
  • picture は元来「描かれたもの」という意味であり,「絵」や「写真」や「映画」などの意味を表わす。depict(描く)も共通の語源である。
  • 絵の具で絵を描く場合は paint a picture といい,鉛筆やペンやクレヨンで描く場合は draw a picture という。
[44] pick up  「ピックアップ」する?
  • pick up は「拾い上げる」などの意味であり,多くの中から選び出すという場合の「ピックアップする」に相当する英語は pick out である。「アップ」や「ダウン」のつく語には和製英語が多い。「リストアップする」は単にlistであり,「ベースアップ」は wage hike, raise などという。「スピードアップする」は speed up でよいが,「スピードダウンする」は slow down という。
[43] perhaps  「たぶん」か「ことによると」か?
  • perhaps はどちらかというと可能性が半分より少なく「ことによると…かもしれない」ほどの意味である。perhaps に含まれるhapは「偶然」という意味であり,perhaps は「偶然によって」から「ことによると」という意味になった。happen は「偶然起こる」の意味であり,happy は「偶然の(幸運による)」から「幸福な,楽しい」という意味になった。
  • perhaps とほぼ同じ意味で用いられる語が possibly であり,可能性がやや高くなると maybe になる。さらに可能性が高い場合には probably や very likely となり,日本語では「たぶん,恐らく」となる。
[42] pants  「パンツ」か「ズボン」か?
  • pants は英国では「パンツ」の意味であるが,米国などでは「ズボン(trousers)」の意味である。「パンツ」のことは underpants という。下着の「シャツ」は undershirts であり,英語で shirts といえば「ワイシャツ」のことである。
  • 「ジーパン」は jeans と pants とを合わせた和製英語で,英語では単に jeans という。英語の jumper は普通,「ジャンパースカート」のことであり,「ジャンパー」にあたる英語は jacket である。
[41] oneself  「身体」か「意志」か?
  • oneself は「自分自身」という意味であるが,時には「体」や「手・顔などの体の一部」の意味で用いられることがある。wash oneself は状況によって「体を洗う」になったり,「手を洗う」になったり,「顔を洗う」になったりする。warm oneself は「体を暖める」,dry oneself は「体をふく」という意味になる。また次の例文の意味にも注意。

    He cut himself while shaving.(顔を切った。)
    She cut herself while preparing supper.(指を切った。)

    また oneself には「意志・考え」などの意味がある。

    express oneself(自分の考えを述べる)
    make oneself understood(自分の意志を伝える)
    make oneself heard(自分の声を聞かせる,考えを聞いてもらう)

[40] note  「ノート」か「メモ」か?
  • 日本語の「ノート」にあたる英語は notebook であり,英語の note は「覚え書き,メモ」などの意味である。ただし「ノートをとる」という場合は「メモをとる」ほどの意味であるので,例えば「彼は講義のノートをとった。」というのを英語で言うと,He took notes on the lecture. となる。また note には a thank-you note(礼状)のように「短い手紙」の意味もある。
[39] nice  「すてきな,微妙な」
  • nice は元来,「愚かな,鈍い」という意味であった。態度がはっきりしないことから「気難しい」となり,細かいことにうるさいことから「細かな,微妙な」となった。そして細かいところまでよく行き届くことから「すてきな,親切な」などの意味になった。このような歴史的な意味の発生の順序は,現在用いられている意味の頻度順と比べると,ちょうど逆になっているといえる。
  • fine は元来「完成された」という意味から「すばらしい」という意味を表わした。そして「優れた,元気な」とか「細かい」などの意味を表わすようになった。fine の意味の発生的順序も現在の意味の使用頻度順とかなり異なっている。
[38] naive  「ナイーブ」という意味か?
  • 日本語の「ナイーブ」は素朴で純真なという良い意味で使われるが,英語の naive は普通「ばかばかしいほど単純な,だまされやすい」という軽べつした意味で用いられるので注意が必要である。
  • 人の性格を表わす言い方で,「ドライな」,「ウェットな」という日本語は和製英語であり,英語ではそれぞれ businesslike, sentimental などという。
[37] more than…  「…以上」か?
  • More than one person was killed in the accident. という英文は「その事故で死亡したのは1人だけではなかった。」という意味である。主語が単数とみなされ was が用いられていることに注意を要する。日本語の「…以上」はその数を含むが,英語の more than… はその数を含まない。over…も同様である。

    Over 30 people are still there.(30人を越す人たちがまだそこにいます。)

    「…以上」に相当する表現には次のものがある。

    These are the children of six years and upward.
    All the children here are 12 plus.
    Candidates must be 18 years of age or over.

  • children six years and over と children over six years old には意味に違いがあることに注意。
[36] lover  「恋人」か「愛人」か?
  • 英語の lover は,a music lover のように「愛好家」という意味以外では「愛人」の意味になることが多い。

    Her lover is a photographer.

    なお,「恋人」の意味では boyfriend, girlfriend を用いることが多い。
  • an intimate friend も性的関係をほのめかす言い方であるので避けた方がよい。「親しい友人」の意味では a close [good] friend などと言う。gay も homosexual の意味で用いられることが多く,「陽気な」や「派手な」の意味ではあまり使われなくなってきた。
[35] local  「地方の」という意味か?
  • 英語の local は「ある地域の」という意味で「田舎の」という意味はない。例えば local news, a local newspaper などと言ったり,Scotland Yard(ロンドン警視庁)も a local police と呼ぶことができる。日本語の「地方の」には「ある地域の」という意味と「田舎の」という意味がある。すなわち「地方公務員」とか「関東地方」とかいう場合の「地方」の意味と,「地方大学」とか「地方出身」とかいう場合の「地方」の意味がある。この後者の場合には local ではなく rural を用いる。
[34] lips  「唇」とは少し違う
  • 上下の唇を合わせて普通 lips と複数形で言うが,上唇と下唇とを分けてそれぞれ the upper lip, the lower lip などと言うことができる。英語の lips は日本語の「唇」より広い範囲を指し,鼻の下をも含めて口の上下の柔らかい部分のことを言う。したがって the hair on the upper lip と言うと「上唇に生えた毛」という意味ではなく「口ひげ」のことである。
[33] life  「生命、人生、生活」
  • life には「生命」,「人生」,「生活」などの意味がある。life とほぼ同じ意味を持っているのが bio- である。
  • bio- のつく語には次のようなものがある。

    biology 生物学(生命の学問)
    biography 伝記(生涯の記録)
    autobiography 自叙伝(自分の生涯の記録)
    biotechnology バイオテクノロジー,生物工学
    biochemistry 生化学
    biorhythm バイオリズム,生体リズム

[32] lie  「うそ」より強い意味
  • 日本ではよく「うそ!」とか「うそつき!」などと言うことがあるが,英語の lie の方がずっと意味が強く,You're a liar. などと言ったら強い非難や軽蔑の感情が含まれるので注意を要する。「うそでしょう!」は You're kidding ! などと言う。
  • 「真っ赤なうそ」は a downright lie,「白々しいうそ」は a transparent lie などと言う。一方,a white lie は「罪のないうそ」であり,a black lie は「悪意のあるうそ」の意味である。
[31] lemon  イメージは?
  • 日本語の「レモン」にはさわやかな好ましい感じがあるが,英語の lemon はすっぱさからマイナスのイメージを持ち,「欠陥製品,おんぼろ車」などの意味を持つ。She is a lemon. と言うと「彼女は魅力のない女だ」という意味になってしまう。反対の意味を表わすには,She is a peach. と言う。
  • 「レモンティー」は英語で tea with lemon と言う。
[30] juice  「ジュース」とは少し違う
  • 英語の juice は普通,天然の果汁や野菜汁などの意味で用いられることが多く,例えば orange juice, grape juice, tomato juice などと種類を表わして用いる場合が多い。日本語の「ジュース」は果汁を全く含まない清涼飲料についてもいうが,英語では soft drink または soda (pop) といって区別する。したがって drugstore などで,清涼飲料を目の前にして,Juice, please. と言っても,We have no juice, sir. などと言われてしまう。
  • cider は「りんご酒」のことであり,日本語の「サイダー」にあたる英語は soda (pop) または soft drink である。
[29] jar  「ジャー」とは別物
  • 日本語の「ジャー」はご飯などを入れて保温しておくものであるが,英語の jar は「広口の瓶」や「つぼ」のことである。お湯などを入れておく魔法瓶のことを日本語で「ポット」と言うが,英語では a thermos bottle, a vacuum bottle などと言う。
[28] highway  「ハイウェー」のこと?
  • 日本語の「ハイウェー」は普通,有料の高速道路を指すが,英語の highway は無料の幹線道路のことを指す。高速道路にあたる英語は expressway, free way, superhighway, motorway, thruway, turnpike などである。
  • 「スカイライン」は普通,山の尾根を走るドライブコースのことをいうが,英語の skyline は「山や建物などが空を背景として描く輪郭」または「地平線」のことを指す。
[27] golden   「金の」か「金色の」か?
  • 「金時計」は普通 a gold watch といい,金製の時計のことをいう。a golden watch ということもあるが,この場合「金色の時計」という意味にとられることがある。また golden には「金のように貴重な」とか「全盛の」という意味があり,a golden opportunity, the golden age, one's golden days などと用いる。golden hours は「またとない楽しい時間」という意味であり,テレビの「ゴールデンアワー」に相当する英語は the prime time である。
[26] general   「全体の,概略の;陸軍大将」
  • general の中の gen- の部分は「生む」や「種族」などの意味をもっている。general は「種族全体の」という意味から「一般の」という意味になった。また「全体を統括する」という意味から「陸軍大将・将軍」などの意味となった。
  • gen のつく語には次のようなものがある。

    gentle 温和な(生まれのよい)
    generous 気前のよい(貴族の生まれの)
    genuine 正真正銘の(生まれつきの)
    gene 遺伝子
    generate 生み出す
    generation 世代(同じ元から生まれたもの)
    genius 天才(生まれながらの能力)
    oxygen 酸素(酸を生み出す)
    engine エンジン(生まれつきの才能による発明)

    また,genre は「種類,ジャンル」の意味である。
[25] game   「ゲーム,競技,獲物」
  • game は元来,「楽しみ」の意味であったが,「娯楽・ゲーム」の意味から「競技・試合」という意味へと発展した。また,スポーツとしての狩りから「獲物」という意味が生まれた。
  • 「試合」といっても baseball, football, basketball など-ball がつく競技の試合に game を用いることが多い。そして tennis, boxing, golf などの試合には match を用いることが多い。
[24] find out  「見つけだす」か「見い出す」か?
  • 「なくしたものなど具体的なものを見つけ出す」という意味では find out ではなくて,単に find を用いる。

    We found the missing girl.

    一方,find out は「調査や熟考などの結果見い出す」という意味で用いる。

    She found out the answer for herself.
    They found out a new method.

[23] expect   「期待する」か「予期する」か?
  • 日本語の「期待する」は良いことを待ち望むという意味であるが,英語の expect は良いことばかりでなく悪いことを「予期する」という意味でも用いる.

    He is expecting a letter from her.
    We expect a storm tomorrow.

  • 自分が良いことを期待している場合には,I hope… と言ったり,悪いことを気づかう場合には,I'm afraid…,I fear… と言ったりすることがある.

    I hope he will succeed.
    I'm afraid〔I fear〕he won't succeed.

[22] escape   「逃げる」か「逃れる」か?
  • 具体的な場所などから逃げる場合は escape from… である.

    escape from prison〔the burning building, the cage, reality〕

    危険や束縛などから逃れる場合は escape… である.

    escape death〔punishment, disaster, danger〕

  • 「授業をエスケープする」は cut〔skip〕a class と言う.
[21] enter   自動詞か他動詞か?
  • enter は具体的な場所に入る場合に他動詞として用いる.

    enter the room〔the building, a restaurant〕

    代わりに go into…, come into… が使える.また,enter a college, enter the army などとも言える.
  • 一方 enter into… は「(仕事や話し合いなど)に入る,始める」という意味である.

    enter into a discussion〔a contract〕

[20] earth   地球,地面,土
  • earth は「地球,世界」という意味を表わすが,時には「大地,地面」の意味になったり,また「土」の意味になったりする.
  • earth とほぼ同じ意味を表わすのが geo- である.

    geography 地理学(土地の記録)
    geometry 幾何学(土地の測量)
    geology 地質学(土地の学問)

[19] drug   「麻薬」か「薬」か?
  • drug は「麻薬」の意味で使われることが多いので注意が必要である。a drug addict は「麻薬常習者」であり,drug abuse は「麻薬濫用」という意味である。また,drug には「薬」の意味もあるが,普通「薬」の意味では medicine を用いる。そして種類に応じて powders(粉薬),tablets(錠剤),pills(丸薬),liquids(水薬)などと言う。また「軟膏(なんこう)」にはointmentを用いる。
  • drugstore には普通 pharmacy(薬局)が設けられ,薬も売られているが,化粧品・文房具・日用雑貨・新聞雑誌などさまざまな物が売られている。また a soda fountain が置かれ軽い食事や飲み物もとれる場合もある。
[18] drown   「おぼれる」とは少し違う
  • 英語の drown は「おぼれ死ぬ」という意味である。He drowned in the river. (彼は川でおぼれ死んだ。)一方,日本語の「おぼれる」は水中で泳げずに死にそうになる意味にも用いる。例えば「ぼくはこの夏,海で3回もおぼれちゃった。」などと日本語で言うが,英語では次のように almost や nearly を用いて言う。

    I almost [nearly] drowned three times in the sea this summer.

[17] drive   「ドライブ」とは限らない
  • drive は普通,「自分で車を運転する」場合に用いる。「ドライブに行く」場合,本人が運転するならば,go for a drive でよいが,人に乗せてもらうならば go for a ride と言う。英語の drive は日本語の「ドライブ」のように必ずしも気晴らしの意味は含まれない。

    He drives to work.(彼は車で通勤している。)

  • 「ドライブイン」は drive-in restaurant, roadside restaurant などと言い,drive-in は車から降りずに乗り入れる食堂,映画館,銀行などのことを言う。
[16] cover   本の「カバー」か「表紙」か?
  • 本の「カバー」と言えば本の表紙にかぶせるもののことであるが,英語の cover は本の「表紙」を指す。a hardcover とは堅い表紙の本のことであり,柔らかい紙表紙の本は,a paperback と言う。本の「カバー」のことは英語で a book jacket,a dust jacket または単に a jacket と言う。
[15] copy   「コピー」とは限らない
  • 日本語の「コピー」は普通コピー機で作った複写(photocopy)を指すが,英語の copy は手で写したものや印刷されたものまでも含む。例えば a carbon copy と言ったり,本の「一冊」,新聞の「一部」などの意味でも用いられる。また copy には「原稿」という意味もあり,copy-writer(コピーライター)などと用いられる。なお,日本語の「プリント」にあたる英語は handout であり,print と言うと「印刷,版画,模様」などの意味になってしまう。
[14] cook   「料理する」とは少し違う
  • 日本語の「料理する」は,例えば生の魚など熱を加えない場合も含んで用いられる。しかし英語の cook は boil(煮る),bake(焼く),fry(揚げる)など熱を加えて料理する場合に用いる。したがって,Mother is cooking fish. というと,焼き魚や煮魚の場合であって刺し身ではない。sashimi や salad sandwich を作る場合は prepare や make,fix などを動詞に使う。
[13] company   「仲間,交際,会社」
  • company は com-(共に)と pany(パン)が合わさってできた語で,元来は「パンを共にする仲間」という意味であった。そして「仲間」という意味から「会社」や「交際」,「同伴」などの意味を表わすようになった。companion も「パンを共にする人」という意味から「話し相手,道連れ,付添い人」などの意味となった。また accompany は「…の仲間に加わる」という意味から,「…について行く」,「…の伴奏をする」などの意味を表わすようになった。
[12] come   「来る」とは限らない?
  • 日本語の「来る」は話し手の方に近づくことを意味し,「行く」は話し手から遠ざかることを意味する。これに対して英語の come は,話し手の注意が注がれている場所に近づくことを表わす。したがって come は日本語の「来る」にあたることもあるが,話し手の注意が離れた場所に注がれていて,そこに近づく場合は「行く」の意味になる。次の例文ではいずれも come が用いられていることに注意。

    What time shall I come to your place?
    I'll come with you tomorrow.
    May I come in?


    アメリカの家庭にホームステイしていた日本人の学生が,ある日の朝,Breakfast is ready. と言われたので,「今行きます」と言うつもりで I'm going. と言ってしばらくして食堂へ降りていった。すると食事が片づけられていたという話である。I'm coming. と言うべきであった。
[11] cleaning   「洗濯」か「掃除」か?
  • 英語の cleaning は汚れを落すこと全体を意味し,日本語の「クリーニング」とは少し意味にずれがある。すなわち cleaning には「掃除」の意味がある。「大掃除」は housecleaning,特に春行われる年1回の大掃除は spring- cleaning と呼ばれる。「ドライクリーニング」は dry cleaning であるが,「クリーニング店」は cleaner's か dry cleaner's,または laundry と呼ばれる。「コインランドリー」は英語では普通 laundromat, coin-op などという。
[10] claim   「クレームをつける」?
  • 英語の claim は「主張する当然の権利として要求する」という意味の動詞であり,また「主張,要求,権利」という意味の名詞でもある。
    一方,日本語の「クレームをつける」とは「不平や苦情を言う」ほどの意味であるから,英語で言うと make a complaint となる。
[9] certain   「確信して」か「ある…」か?
  • certainは例えば,I'm certain of your success. のように述語用法で用いると「確信して」という意味になるが,a certain reason のように限定用法で用いると「ある…」という意味になる。形容詞の中には述語用法と限定用法の両方で用いられ,しかも同じ意味の語が多い。また,main や drunken などのように限定用法のみで用いられるものもあり,afraid や asleep などのように述語用法でのみ用いられるものもある。certain のように限定用法と述語用法で意味が違う形容詞は,他に present, ill などがある。
[8] businessman   「ビジネスマン」のこと?
  • 日本語の「ビジネスマン」は実業界にいる人すべてを指し,「サラリーマン」とほぼ同じ意味で用いられる.例えば「ビジネスマン入門」とか「新米のビジネスマン」などと言うことができる.
    「ビジネスマン」に相当する英語は office worker である.これに対して,英語の bussinessman は普通,企業の経営者や管理職にある実業家のことを指す.
  • 「ビジネスホテル」は英語で budget hotel,また「ビジネスランチ」は office worker's special lunch などと言うことができる.business lunch と言うと「仕事で他の会社の人ととる昼食」ほどの意味となる.
[7] boss   「ボス」のこと?
  • 英語の boss は日本語の「ボス」のような悪い意味はなく,普通は社長・部長・主任などの職場の長の意味で用いられる.したがって女性にも boss を用いる.
    同じように英語の handsome は日本語の「ハンサム」とは違って男性ばかりでなく女性にも用いる.男性の場合は a handsome man(美男子),女性の場合は a tall, handsome woman(大柄で魅力的な女性)などと用いる.
    また人以外にも,例えば a handsome tip(気前のよいチップ)などと用いることができる.
    また逆に,英語の charming は日本語の「チャーミング」とは違って女性ばかりでなく,例えば a charming young man(感じのよい青年)や a charming smile(魅惑的な微笑)のように,男性にも,また人以外にも用いることができる.
[6] boat   「ボート」とは限らない
  • 日本語の「ボート」は普通,オールでこぐ舟(rowboat)や小型の船を指すが,英語の boat は汽船などの大型の船をも含めてすべての船を指すことがある.
    例えば「蒸気船」のことは steamboat ,「漁船」のことは fishing boat と言う.また「ヨット」のことは普通 dinghy または sailboat と言い,英語の yacht はレジャー用の豪華船をも含み,しばしばエンジンもついている.
  • 英語の tanker は日本語の「タンカー,油送船」の他に,「タンクローリー」や「給油飛行機」をも指す.
[5] bike   「バイク」のこと?
  • 日本語の「バイク」は普通,小型の軽量オートバイのことを指すが,英語のbikeは自転車(bicycle)を指すことが多い.mountain bikeなどと用いる.
    「オートバイ」は和製英語であって,英語ではmotorcycle,特に小型のものはmotorbikeと言う場合がある.
    bicycleはbi-(2)とcycle(輪)から成り,元来は「2つの輪」という意味であった.
    なお,「一輪車」のことはunicycle(曲芸用)またはmonocycle(運搬用)と言い,「三輪車」のことはtricycle,または短縮してtrikeと言う.
[4] bathroom   「浴室、トイレ、洗面所」
  • bathroomにはbathtub(浴槽)のほかにtoilet(便器)とsink(洗面台)などがあり,普通は浴室とトイレと洗面所を兼ねている。
    日本語では「便所」の代わりに「トイレ」,「洗面所」,「お手洗い」などと言った方が上品に聞こえるが,英語ではtoiletの代わりに遠回しに,bathroom,rest room,men's[women's]roomなどと言うことが多い。
    ある日本人がアメリカ人の家庭のdinnerに招待されて,The bathroom is over there.と言われて,手を洗うのではなく風呂に入ってしまった。その間,他の人は皆bathroomが使えなくて困ったという話がある。
[3] bark   「ワンワン」か「キャンキャン」か?
  • 動物の鳴き声を表わす時に,日本語では「ほえる」,「いななく」,「さえずる」などの動詞を用いることもあるが,数が少ない。しかし擬声語が豊富で一緒に用いられる。
    それに対して英語には動物の鳴き声を表わす動詞が多い。犬が「ワンワンほえる」のはbark,「キャンキャンほえる」のはyelp,「遠ぼえする」のはhowlである。馬が「ヒヒーンといななく」のはneigh,牛が「モーと鳴く」のはmooで,「大声で鳴く」はbellowである。豚が「ブーブー鳴く」のはoink,羊ややぎが「メーと鳴く」のはbaaまたはbleat,ライオンやとらが「ほえる」のはroar,猫が「ニャアと鳴く」のはmeowで,ねずみが「チュウチュウ鳴く」のはsqueakである。また,鳩が「クークー鳴く」のはcoo,からすが「カアカア鳴く」のはcaw,あひるが「ガアガア鳴く」のはquackである。
[2] asterisk   starに関係のある語
  • 単語の中にaster-やastro- を含む語は「星」や「宇宙」に関係のある意味をもっている。例えばastronomyは「天文学」,astronautは「宇宙飛行士」,astrologyは「占星術」という意味を表わす。
    またdisasterは元来,「(吉兆の)星から離れている」という意味であったが,星の位置が悪いことから「大災害」を意味するようになった。
    少し形が変わっているがconsiderも「星をよく調べて何かを決定する」ことから「よく考える」という意味になった。
[1] address   「住所、演説」
  • address の基本的な意味は「人に言葉や手紙をさし向ける」である。
    「人に話しかける」ことから「あいさつの言葉,演説」という意味になった。
    an opening address は「開会の言葉」である。
    また「人に手紙をさし向ける」ことから「あて名,住所」という意味になった。

ご活用いただくにあたって

外国語の学習には語い力を高めることがどうしても必要になります。まず,話したり書いたりするのに必要な活用語い(active vocabulary)と聞いたり読んだりして理解するのに必要な理解語い(passive vocabulary)との違いに注意しましょう。前者は語義が多いばかりでなく用法の上でも注意を払う必要があります。後者は形の上でも比較的長いものがありますが,語義が1つしかないものも多いようです。単語についての知識を整理して,まとめて覚えておくことは効果的です。
本稿は,英単語を習得する上で注意すべき点について,次の観点からまとめたものです。授業等に役立てていただければ幸いです。

  1. (1)多義語における語義の関連性
  2. (2)用法の上で注意すべき語
  3. (3)日本語と意味がずれる語
  4. (4)カタカナ語に相当する英語
  5. (5)話題が共通する関連語
  6. (6)語源が共通する語
  7. (7)日本語のイメージと異なる語